会長挨拶

                               

会長挨拶

福祉を取り巻く環境と協会としての対応について

福祉を取り巻く環境について、福岡県内においては不正受給などの不祥事もあり、これまで以上に社会から厳しい視線が注がれています。
そのような中、当協会では「障がい当事者・ご家族が、協会会員施設であれば安心してサービスを受けることが出来る」という環境作りを重視し、質の高いサービスに向けて、いろいろな取り組みを行っているところです。
地域社会からは会員・非会員関係なく福祉事業関係者として評価されます。私たちが率先して質の高いサービスを目指し提供する中で、非会員の事業所とも良い連携が築いていければと考えています。

質の高いサービスは、直接処遇職員により提供されますので、昨年度に引き続き、今年度も権利擁護に関する実践力向上研修(年5回)や職員研修を開催いたします。
また、働きがいのある環境づくりに向け、法令順守の視点も含んだ施設長研修も開催していきます。

さらに権利擁護という面では、成年後見制度の活用も必須となります。
様々な環境下に置かれる当事者の支援においては、弁護士、司法書士、警察や検察等との連携も必要になりますので、専門職との連携も推進していきたいと考えています。

次に、人材確保についてです。数年来の大きな課題であり、今後も厳しさが増すと予想されます。
「福祉」といっても、保育・障がい・高齢等、様々な分野があり、分野ごとに仕事の魅力がありますが、社会一般のイメージは「福祉=介護」のイメージが定着しているように感じます。しかし、「障がい福祉分野」は、生産活動を含む就労支援や生活支援を通じて、利用者と職員が一緒に成長できる・成長を共に喜びあえるという大きな魅力があります。この障がい福祉の魅力を発信する責任も私たちにあると考えております。

例えば、将来を見据え社会福祉法人の公益的取り組みという視点からも小学校や中学校で行われている福祉教育を側面的にサポートし、その魅力を伝えながら福祉の担い手を育てることが大切と感じています。
方法は様々あると思いますが、真の共生社会を目指すならば、幼児期から障がいの有無に関系なく地域で共に過ごす場があり、共に成長していく中で、個人の特性に応じた配慮がごく自然、当たり前に存在していることが必要だと感じています。専門特化した支援も重要ですが、あくまで共に生きるという目的のための手段であることを忘れてはいけないと思います。

福岡県知的障がい者福祉協会
会 長 木髙 徳典

会長インタビュー

「福岡県知的障がい者福祉協会の今後の方向性について」

  1. 平成30年度、新しい事業や報酬改定が実施されましたが、報酬ありきのサービス選択、実施のリスクについてどう考えられていますか。 また、法制度が変わる中、社会福祉法人に求められる部分とは何でしょうか

    報酬ありきのみのサービス提供で考えるなら、課税対象ではない私達社会福祉法人は、課税対象の営利法人との区別がなくなり、いつか課税対象になるはず。社会福祉法人にもとめられているものは、まず、自身の実施事業の充実・地域に必要なサービスの創出、そして、地域における公益的な取組です。我々の協会で言えば、障がい者福祉の分野でそれぞれが行っているサービスを充実させ、地域のニーズをしっかり把握して、必要なサービスを提供できるよう地域の他事業所と連携を図り、新たなサービスを作り上げていく、そして地域で社会福祉法人が存在するから解決できることがたくさんあるということを認識してもらえるような取組(サービスに関係なく)をしていくことだと思います。

  2. 社会福祉法人の公益的取組として、地域の社会福祉協議会を中心にネットワークづくりが進んでいますが、「形骸化」させないために必要な視点、連携のあり方とは。
    地域のことを全体で考えていくための視点(地域のことを第一に)に立って、連携に心がけることではないでしょうか。
  3. 虐待事件の報道が後を絶ちません。本会権利擁護・研修部会の今後の活用、展開としてどのような構想を持たれていますか。
    まず支援を提供する我々が障がい者の様々な権利について知るための取組を実施し、その上で支援の現場で生かしてもらえるような研修や啓発活動をと考えています。
  4. 高齢者福祉分野との協力体制の構築について、本当の意味で利用者主体のサービス提供が行われるためにはどのように進めていくべきですか。
    協力体制は必要だと思いますが、障がい者ご本人が望むサービスを引き続き受けられるようにしていく方法がベストだと思います。
  5. 福祉分野における人材難について、どのように福祉職の魅力を「見せる化・見える化」していくべきでしょうか。
    報道やメディアでは福祉の職場は4Kなどと言われており、たしかにそういう場面もあります。しかしながら、私達の仕事を全体的に見ればKの部分よりも、当事者の生きがい探しや将来のこと、生活やその他の様々な相談を受けるなどの様々な支援の方が割合的に多いように思います。
    支援する側の生きがい、やりがいも大きいはずです。そういった部分を多くの方々に知ってもらうための取組が大事ではないかと思います。