職員倫理綱領の改訂

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はじめに

皆様が利用者の支援を行う際に大切にしていることは、どんなことですか?
平成29年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(厚生労働省)によると平成29年度に全国で発生した障害者福祉施設従事者による障がい者虐待の件数は、464件でした。福岡県では、14件発生しました。不適切な支援も多数発生していると考えられます。私たちの周りには、不適切な支援は必ず存在するということを常に意識しながら、利用者に対する支援を行うことが求められます。
 今回は、適切な支援を行うために、私が所属する事業所における「福岡県知的障害者福祉協会職員倫理綱領」の活用例についてご紹介します。

福岡県知的障害者福祉協会職員倫理綱領
権利擁護委員会(現在の権利擁護・研修部会)が中心となり平成27年度から「職員倫理綱領」の改訂に向けて作業が進められ、平成28年度に改訂されました。

職員倫理綱領を活用する目的

皆様は、日々、利用者の支援を行う上で、何に基づき支援を行っていますか。何らかの価値・倫理に基づき支援を行っているはずです。専門職、例えば社会福祉士であれば、社会福祉士会が掲げる倫理綱領に基づきソーシャルワークを展開します。各法人・事業所に必ず掲げられている理念をイメージしてもらえればわかりやすいと思います。私たちは福岡県知的障がい者福祉協会に所属していますから、職員倫理綱領に基づいた支援を行うことで、虐待や権利侵害を防ぐことができます。

職員倫理綱領の活用例

それでは、実際に職員倫理綱領をどのように活用しているか、私が所属する障がい者支援施設、笠松あんじゃ園での活用例をご紹介いたします。
笠松あんじゃ園では、倫理綱領及び行動規範を活用した朝礼を行っています。ある日の朝礼の様子を紹介すると、朝礼の最後に職員倫理綱領の7「私たちは、当事者個々人のニーズの実現に努めます」を職員全員で唱和し、一人の職員が、利用者のニーズを実現するために今日一日どのような実践をするか目標を発表し、その目標を職員全員が意識して業務を行います。私たちは、日々の業務に追われ、自分の支援を振り返る機会が少ないのではないしょうか。倫理綱領や行動規範を朝礼で確認することで、自分の支援を振り返ることができ、職員の前向きな目標を聞く事で、気持ちよく仕事をスタートさせることができます。

おわりに

私たちが、利用者に対して、自分の価値観を一方的に押し付けることなく、利用者の意思を尊重した支援を行うためには、自分は何の価値・倫理に基づいた支援を行っているか、常に振り返ることが必要です。皆様が利用者の支援に関して悩んだときは、職員倫理綱領を読み返してみてください。きっと解決のヒントになると思います。
皆様の今後のご活躍をお祈りしています。

笠松あんじゃ園 施設長 青柳 壮悟