熊本地震をうけて

特集
               

この度の熊本地震におきまして亡くなられた方々へ心よりご冥福をお祈りするとともに、被災された方々へお見舞い申し上げます。

4月14日21時26分のM6.5(震度7)の前震、16日1時25分のM7.3(震度7)の本震を含め、震度6以上の地震が7回、震度1以上の地震が1700回を超える地震が熊本、大分を襲い、今も揺れが続いており、いまだ不安な日々を過ごしている方も少なくありません。
私自身、幸い被害がない地域であった為、会長、副会長、事務局と連携を取りながら前震の翌日、更に本震の翌日に被害があった施設へ備蓄していた水や食料の物資搬入、及び、状況確認に現地に入りました。並行して協会としては被害状況の把握を前震の翌日以降定期的にメール、FAXで調査を行い関系機関と情報の共有を行いましたが、前震、本震ともに夜間であり、週末であったこと、更には各機関ともに被災して混乱している状況で被害状況やニーズ把握は困難を極めました。

被害の報告は、断水、停電、建物の倒壊、道路の寸断、地盤の亀裂、スプリンクラー破裂、飲料水や食料の不足など多岐に亘りました。中には職員自身も被害に遭いながら家にも帰れず施設で利用者支援をし、更には地域の避難住民の為の炊き出しやお世話をしている職員の姿もありました。水や食料はコンビニやスーパーから姿を消し入荷の見通しもないことがほとんどでした。また、施設であっても避難所の長蛇の列に並ばなければならない状況で、やっとの思いで支給されても利用者に一つのおにぎりが渡る程度で職員分など到底及ばない状況もあったようです。

そのような中、施設や避難所ごとに刻々とニーズは変化していきました。
「水や食料がない」という2日後には「水や食料は足りているが味のついた飲み物やトイレ回りや衛生用品、オムツなどが足りない」「職員が全く休めていない」など調達している間に次のニーズに変化していき、支援が追いつかず需要と供給のギャップが発生しました。このことは東日本大震災でも教訓として語られたことで、私自身今回の熊本地震で活かしきれていない部分でした。

水や食料などの「短期的支援」、嗜好品や衛生用品、人的支援などの「中期的支援」、義捐金や修繕を含めた事業や生活の再開などの「長期的支援」。そして、それらの先の見通しをもった支援体制をいち早く整え、状況把握と情報発信を行い、物資や人の支援を効率よく結びつける協会としての「組織的支援」が今回の地震を経験し必要だと感じました。

そのような中、本震のすぐ後には九州各県より物資供給の申し出があり、その2日後には県内に数か所の物資拠点を設置し、被災施設へ物資供給が出来るようになりました。その供給体制は、タイムロスも少なく効率的であり供給過多にもならず九州ならではの素晴らしい体制であったと思いました。

今後、我々福祉施設は、災害対策を抜本的に見直し、災害時の計画、訓練の実施、備蓄品の充実を図り、本当の意味で地域の拠点となる得る災害に強い施設作りが求められます。一方、協会や組織では、会員施設の一歩先の支援を行うことが必要で、非常時にこそ協会の動きや支援を会員に見せることで施設の先の見通しにも繋がるのだと感じることが出来ました。

まだまだ、被災地では平穏を取り戻す目途は立っておらず揺れも続いています。熊本地震を振り返るには早いかもしれませんが、それでも少しずつそれぞれの歩みも始まっています。

最後に今回の地震に際し、福岡県をはじめ九州各県、全国各地よりご支援をいただいておりますことに改めて感謝申し上げます。
「九州は一つ」を災害時にも発揮できる体制を肌で感じることができました。

つつじヶ丘学園(熊本県) 恒松祐輔