利用者のニーズを把握し、利用者本位の支援を実現させるためには、サービス等利用計画に連動した個別支援計画の作成が必要であり、そのためには、相談支援専門員とサービス管理責任者がそれぞれの役割を理解したうえで連携することが重要ですが、お互いの連携がうまくとれていないケースも見受けられます。
今回は、平成30年2月26日に開催した研修会を通して、それぞれの連携について考えます。
平成30年2月26日(月)、福岡センタービルにおいて、平成29年度第2回職員研修会を開催しました。定員を大きく上回る77名の方々からの申し込みがあり、会場いっぱいが参加者で埋め尽くされました。研修会講師に福岡市東区第1基幹相談支援センター 池田顕吾センター長を迎え、「相談支援専門員とサービス管理責任者の連携」をテーマとして講義、事例を通したグループ演習を行いました。
講義では相談支援専門員とサービス管理責任者の違いや役割、サービス等利用計画と個別支援計画の関係について理解する、また、事例を用いて効果的なアプローチ方法を探るという研修目的(獲得目標)を受講生に対して具体的に明示され、講義内容については障害者総合支援法におけるサービス提供のプロセス(申請、サービス等利用計画の様々、モニタリング)を理解する、特にサービス等利用計画と個別支援計画のの関係及び相談支援専門員とサービス管理責任者との連携について理解することでした。
講義の中で特に印象的だったのは、相談者がなぜ相談に来たのか。主訴を把握、確認するため、支援者は相談者が話しやすい雰囲気を作っていく。そのためにはしっかり話を聴く(傾聴する)ことが大切であること、また、ニーズアセスメントの重要性について、本人の現状と望む暮しの間に「ズレ」がある。困難事例と言われるケースは本人の望む暮しと支援者が見立てる必要性とが合意形成しないことにより生じるといえるという点でした。
講義に続いて、軽度知的障害40歳代男性の事例提供を通して、グループ演習を行いました。各グループ7~8名の受講生で構成し、事例についての模擬サービス担当者会議を組み立てました。会議の目的に応じてサービス等利用計画にある関係機関のほか必要な機関がないか協議し、各自が関係者として役割を演じました。
私も受講生の一人として演習に参加し、サービス等利用計画にある就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)のサービス管理責任者役をしました。振り返ると、サービス等利用計画にあるB型事業所が担当する支援目標を確認し、会議の中でその内容について質問していました。やはり自分の事業所はどのようなニーズに対して支援すべきなのか利用計画を見て確認したくなるものだなと感じました。
また、同じグループの受講生より、B型事業所の支援目標が一つしかなく、利用計画だけでは充分なアセスメントができないため、改めて必要な情報を聴き取りせねばならないという意見もあり、サービス提供事業所もインテーク、アセスメントする必要性があることを確認しました。
サービス担当者会議を通して相談支援専門員からサービス提供事業所へ提出される情報には限りがあります。サービス等利用計画における各目標は福祉サービス等を活用する根拠を示しており、サービス提供事業所はその点を参考としつつ、自分達のアセスメントを通した個別支援計画を作成し、随時、支援内容を変更、調整することができ、事業所の守備範囲の中で試みることができるのです。
講師より、サービス等利用計画と個別支援計画はどちらが上位という関係構図はないとありました。相談支援事業所(相談支援専門員)とサービス提供事業所(サービス管理責任者等)はともに相談者の人生において協働する者同士としてチームアプローチする、信頼できる関係であるべきと感じました。
その人の人生をより豊かなものとするため、支援機関一丸となってサービス担当者会議をより機能させていくこと。皆さんとともにこれからも考えていきたいと思います。
(相談支援部会 部会長 昭和学園 福田敬介)